ロウバイ
裏門から入って直ぐ、右側に3本のロウバイがありますが、皆様お気づきでしょうか?
つい数日前までは堅い蕾でしたが、気がつけば満開で、丁度見頃となり、まるで蝋細工のような花を一面に付けています。近頃の造花は実にうまくできているので本物と紛うばかりですが、本物のこの花は蝋細工ではないかと見紛います。このことが、名前の由来にもなっています。
原産地は中国で日本には自生はありません。中国原産といわれてはいますが、未だに野生地ははっきりしていないそうです。日本には、江戸時代に中国から朝鮮半島を経て薬木や灌木として導入されました。その後改良されて多くの品種が作出され、後年海外へ渡り英名を「winter sweat」と呼ばれています。
一般にロウバイといえば、花被は黄色で、花芯が暗紫色のものを指します。
今では、この種は少ないようです。
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花被、花芯とも全て黄色いのものを
ソシン(素芯)ロウバイといいます。
庭木としては、こちらの方が多いようです。
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当園にあるのはソシンロウバイです。
同じ素芯であっても、形が丸みを帯びているのは“満月”の名で流通していますし、色の濃いものや花被片の細長いもの、八重咲きのものまであり、多様な園芸品種が作出されています。
ロウバイは採り蒔きで容易に発芽します。その二年株を台木として接ぎ木で増やすことが容易なため、今後も多様な品種が作出されることでしょう。
百花に先駆けて咲くことから珍重されて、鑑賞用に庭木として植えられていますが、薬用としても有用な木です。生薬名はロウバイカ(蝋梅花)といい、咳止め、解熱、火傷に用いられています。詳細は、下記のデータをご覧ください。
私が初めてロウバイを見たのは奈良の浄瑠璃寺で、今から50年ほど前のことでした。当時は稀少だったロウバイの、蝋細工のような花と芳香は鮮烈でした。
時を経て現在は、鑑賞花木としてしばしば見かけます。
もう暫くは楽しめますので、近くによって是非ご覧ください。.
学 名:Chimonanthus praecox
科 名:ロウバイ科
原産地:中国北西部。
形 態:日本では薬用、鑑賞花木として植栽さらている落葉低木です。
樹高は2m~4m、幹は束生し、株元からよく徒長枝をだします。
花は徒長枝には着かず前年枝に着きます。
生薬名:蠟梅花(ろうばいか)
利用部位:蠟梅花 ⇒ 開花前の花蕾を採り、風通しのよいところで陰干しに。
利用法:鎮咳 ⇒ 蠟梅花一日量4~8gを水300cc で1/3量になるまで煎じて、
3回に分けて服用します。
解熱 ⇒ 蠟梅花一日量4~8gを水300cc で1/3量になるまで煎じて、3回に
分けて温めてから服用します。
火傷 ⇒ よく乾燥した蕾を20~30gを、食用ごま油200ccに漬け込んでお
き、患部に塗布します。蕾は取り出さないでそのままにしておき
ます。