スイカズラ(ニンドウ)
園の奥まった所の木々の間からスイカズラの白と黄色の花がのぞき始めています。筒状の花の細い方を口に含んでそっと吸うと良い香りと甘い味がします。この花を見て「子供の頃、この花の蜜をよく吸った」と思い出される方も多いのではないでしょうか。スイカズラの名前は“吸う葛”ということが名前の由来です
花の咲き始めは白く、咲き進むと黄色に変化するので、白い花を銀に、黄色い花を金に見立ててキンギンカとも呼ばれます。もう一つの別名はニンドウで、この名前の方が一般的かもしれません。日本各地に野生している蔓性の木本で、右巻きに他の木に絡みついて伸び、対生の葉は冬でも枯れずに寒さにも耐え忍ぶというので忍冬(ニンドウ)の名前に。
スイカズラは古くから民間や屋生薬として用いられてきました。
蕾、花、葉、茎を生薬に用います。
花を使う生薬・金銀花(キンギカ)
●忍冬より抗菌作用は強いとされ、風邪や扁腺桃炎、咽頭炎、化膿性の皮膚疾患、尿路の炎症性疾患などに。
●また、皮膚を美しくして、美容にも大変よいとされ、抽出液は化粧品や医薬部外品の原料となっています。
●痔の痛みや腰痛、関節の痛みなどに用いられています。
葉や茎を使う生薬・忍冬(ニンドウ)
●秋から冬にかけて、葉のついたまま茎を採取し、刻んで天日で乾燥します。
●鎮徑(ちんけい)、利尿、抗炎症、抗菌作用があり風邪や扁腺桃炎、咽頭炎、化膿性の皮膚疾患、神経痛、リウマチなどの関節筋骨の疼痛や尿路の炎症性疾患などに用いられ。入浴剤として用いられています。
ハーブでは、同じスイカズラ科のハニーサックル Lonicera periclymenum をウッドバインともいい、昔は喘息、泌尿器疾患、出産などに用いられていました。作用は利尿、抗痙攣、去痰、緩下、催吐です。
しかし今日薬用種とされているのは日本原産のスイカズラです。中国、唐の時代 659年に著された『新修本草』(しんしゅうほんぞう)には既に記載があり、漢方では重要な清熱解毒薬の一つです。
*昨年載せた豆知識<スイカズラの蔓は右巻き?>のデータと重複します。
学 名:Lonicera japonica
科 名:スイカズラ科
生 薬 名 : 花蕾⇒金銀花(キンギンカ)・葉茎⇒冬忍(ニンドウ)
利用部位 :花蕾⇒5月の開花期に摘み採り、風通しのよいところで陰干し
に。
葉茎⇒6~9月に切り取り、2,3日日干しにした後、陰干しにて
保存します。
薬 効 :冬忍⇒解熱、消炎、利尿薬として化膿症、浄血、関節炎などに
用いられます。
使 用 法 :解熱⇒金銀花を1回量3gを水200ccを半量になるまで煎じて用。
化膿症⇒冬忍を1日量5~10gを400ccの水で半量になるまで煎じ1
日3回に分けて食後30分に服用します。
関節が痛むとき⇒金銀花を1日量3gを水200ccで半量になるまで煎
じ食後に服用。
痔の痛み・腰痛に⇒冬忍を100g程布袋に入れ鍋でひたひたの水を
加え煮だした液を袋と共に浴槽に入れて入浴しま
す。
成 分:葉にタンニン、サポニンのロニセリン。
花に蝋質のセリルアルコール、ステリン、アラキン酸、
リノレイン 酸、リノール酸等を含有。