クコ
薬膳料理でお馴染みのクコです。園の奥まったところで赤い可愛い果実をつけています。クコは、道端でも見かけたりするので、ご存知の方は沢山いらっしゃることでしょう。
クコは中国原産の落葉小低木で、本州、四国、九州の道端、土手や人家の近くに自生する壮健な植物です。
中国最古の薬物書『神農本草経』では、人体に作用する薬効の強さによって、下薬(げやく)には有毒なものを、中薬(ちゅうやく)には使い方次第では毒にもなるものを、上薬(じょうやく)では無毒なので長期間服用してもよいものの
3つに分類されていますが、クコは生命を養う養生薬としての上薬に入れられていることから、中国では3000年も前から薬用として用いられてきたことが分かります。
日本には,平安時代前期の文徳天皇の時代には栽培されていたとそうですから、薬用として渡来した史前帰化植物といえるでしょう。
樹高は1~2mほど茎は根元から束生し、枝は弓状に曲がって垂れ下がります。若い枝には稜があり、刺がついているので、うっかり手を出すと傷つき痛い目に遭います。
枝の節に、2~3cmの狭長楕円形の柔らかい葉を束生しています。葉を摘んで乾燥させたものを、生薬では枸杞葉(くこよう)といい、高血圧症や動脈硬化の予防に「クコ茶」として飲まれています。葉にはビタミン類、ルチン、ベタインの成分を含みますが、ルチンは血管を強化する作用があり、ベタインは消化を促進し、血液を酸性からアルカリ性に代える働きがあります。
若芽は油炒めや天ぷらに、新芽は塩湯でし水に晒してお浸、辛子和えや佃煮にして食べられます。
花期は8~10月、淡紫色の花を葉腋に単生又は束生しています。赤く色づいた果実を食用に利用し、これを生薬で枸杞子(くこし)といいます。 晩秋、赤く熟した果実を採り,乾燥させて用います。中華料理や薬膳料理に入っている枸杞子は、疲労回復、肝機能を改善したり老眼やかすみ目などにも有効とされています。氷砂糖と一緒にホワイトリカーに2ヶ月程漬けこんだ「クコ酒」は疲労回復に効果があります。
生薬 地骨皮(じこっぴ)は掘りあげた根の芯を取り除いて乾燥させたものですが、血糖低下作用、降圧の作用があり寝汗、発熱、喘息、吐血などの処方に配されています。
このようにクコは全草が有用な植物です。長期間用いることで、脳を活性化し老化予防になると云われていますので、今まで気にもとめていなかった方も、身近にある園内のクコを、先ずはお手にとってみて下さい。
学 名: Lycium chinense
科 名:ナス科
生 薬 名:地骨皮(じこっぴ)・枸杞子(くこし)
利用部位:枸杞葉⇒葉;夏に採取し、日干しにします。
枸杞子⇒果実;秋に赤く熟した果実を採り、日干しにします。
地骨皮⇒根皮;秋に掘りあげ、水洗い後、芯を除いて日干しにします。
薬 効:疲労回復、高血圧症、消炎、利尿、
使 用 法:疲労回復に⇒クコ酒にして
・枸杞子200gに氷砂糖200gを加え、ホワイトリカー1.8㍑
に2ヶ月漬け込み、毎日盃1~2杯飲用。
高血圧症に⇒枸杞葉を1日量5~10gを水400m㍑で半量になるまで煎じて、3回に分けて飲用。
血圧降下、血糖降下、痰切り⇒地骨皮を一日量10gを煎じて3回に分け
て食前に飲用。
成 分:葉⇒ベタイン、ルチン、ビタミンB1,B 2, C
果実⇒フィサリエン、カロチン、ビタミンB1,B12,C
根皮⇒ベタイン、リノール酸など。